盛夏の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
季節の移ろいを感じるこの時期、改めて私たちの使命について考える機会となりました。

日々の業務の中で、「規格に書いていないから」という言葉を耳にする機会が増えています。特に、業界関係者や評価・認証に携わる方々からそのような発言を聞くたびに、私は危機感を覚えます。
規格は単なるルールではありません。製品規格の成り立ちを振り返ると、その根底には「国民の生命と財産を守る」という大きな目的があります。また、製品のライフサイクル全体を見据えた安全設計を実現するための指針でもあります。そのため、規格に明記されていないことを理由に判断を停止するのではなく、安全確保の観点から自ら考え、判断する姿勢が求められます。技術者倫理とは、自らの判断が最終的に利用者の安全にどのような影響を及ぼすかを常に意識することではないでしょうか。

例えば、ある電気ケトルの実機調査を行った際、私は制御回路に懸念を感じました。そこには、私が若い頃に経験豊富な先輩技術者から教わった「異常時を含めた二重の温度保護」というフェールセーフの考え方が十分に反映されていないように見受けられました。この事例からも、安全設計に対する理解の重要性を改めて認識しました。

電気用品調査委員会においても、規格の形式的な適用に重点を置いた議論が見受けられることがあります。評価・認証業界を取り巻く環境が変化する中、技術的知見の継承や向上に向けた取り組みの重要性は、これまで以上に高まっていると感じています。

こうした課題に対応するためには、業界内で経験や知見を共有し、技術的な課題について議論できる場を充実させることが有効ではないでしょうか。互いの経験や設計思想について議論し、理解を深める機会が、業界全体の技術力向上につながると考えます。

過去の大規模なリコール事例は、製品安全について改めて考える重要な機会を私たちに与えています。このような事案の背景には、設計上の課題や評価・認証プロセスにおけるさまざまな要因が存在する可能性があります。私たちがこれまで学んできた「安全への徹底した姿勢」は、現在においても変わらず重要です。表面的な適合確認にとどまらず、安全設計の本質を理解し続けることが求められます。

私は、このような事例を単なる過去の出来事として終わらせるべきではないと考えています。製品安全に携わる者として、同様の問題の再発防止に向け、事例から得られる教訓を整理し、調査委員会での議論や業界への提言につなげていきたいと考えています。改めて技術者としての原点に立ち返り、皆様とともにより安全な社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

趣味の日本蜜蜂の養蜂ですが、1群が逃げていった後に今年巣へ入ってきた蜜蜂は、どうも色が黄色い(黄色すぎる?)ので、西洋蜜蜂ではないかと見ています。西洋蜜蜂だと届出や検査が厳しくなるため、人為的に逃げていただくことになるのですが、もう少し気温が上がると、蜜蜂たちが巣門でお尻を向けて外の空気を巣内へ送り込むのか、それとも頭を向けて巣内の空気を外へ排気するのかで、西洋蜜蜂か日本蜜蜂かを見分けられるようです。しばらく様子を見て判断しようと思います。

IECEEのCMC会議に参加することになりましたので、6月末にはイギリスでの会議に参加してきます。