先日東京へ出張した際、真夏のような暑い日で、77歳になった私にとってはとても堪えました。電車の中で疲れた顔をしていて、熱中症で倒れるのではと思ったのでしょう。私よりはるかにお若い女性が、席を譲ると声をかけてくれました。非常にありがたく、感謝の気持ちで一杯だったのですが辞退しました。何か高齢者と見られるのが嫌だという気持ちが心の中にあって、素直でない自分が出てしまいます。このようなことがあった時は、訪問場所の近くの喫茶店でレモンスカッシュを 2、3杯飲んで、一息ついてから訪問するようにしています。

今月は、製品安全評価及び認証業務における技術者倫理の重要性について、改めてお伝えしたいと思います。製品安全評価や認証に関わる技術者には、高度な専門知識だけでなく、確固たる倫理観が求められます。これは、利用者の安全や社会からの信頼を支える根本的な要素です。
国際規格 ISO/IEC 17021:2011 は、“マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項”を定めていますが、製品認証機関、試験所、校正機関にとっても示唆を与えてくれる部分が多々あります。この規格の附属書 D(望ましい個人の行動)の項目 a)では、マネジメントシステムの認証機関の要員は“倫理的であること”と明記されています。これは、製品の評価・認証の公平性と客観性を保つ上でも不可欠と考えます。したがって、倫理的であることは製品安全にかかわる技術者にとっての基盤でもあります。

近年、当社を退職した元社員が設立したコンサルティング会社に業務を委託した当社のお客様から聞いた話では、元社員が“元コスモスのベテラン技術者”と称し、“コスモスでの豊富な経験に基づきコンサルティングを行っている”とのことでした。このような主張は、利用される方の判断を誤らせる可能性があります。製品安全評価・認証業務は、個人の経験や知識だけに依拠するものではなく、国際的な基準及び厳格な倫理規定に則って実施されるべきです。なお、そのようなコンサルティング会社と当社は一切関係ありません。当社の元社員であることを謳うコンサルティング会社について不安に思われる点がある場合は、当社までご相談ください。個人情報に該当する内容の開示については、本人の同意が必要となりますので、可能な範囲で対応させていただきます。これにより、表面的な自己評価にとどまらず、客観的な情報を得ることができ、皆様の的確な意思決定を支援できるものと考えます。

なお、ISO/IEC 17065:2012 の 4.2.6項 d)にて、認証機関が依頼者に対してコンサルティング(同規格の 3.2項に定義)を行うことはできないとされています。日本の認定機関グループでは、認証機関によるコンサルティングの定義について関係機関と現在協議中で、近日中に統一見解が示される見込みです。当社は、ISO/IEC 17065:2012 対応ワーキンググループの元座長で、「製品認証機関の要求事項に関するガイド」(日本規格協会)の編集委員長を務めた故住本守氏から 2 年間教育を受けました。このガイドの 18ページに記載されている以下の定義に基づいて当社は適切に対応してまいります。

“製品認証の依頼者に対して、‘製品の設計をこう直せば適合できる’といったように、その製品の認証を取得するための具体的方法や改善方策を示すことを、コンサルティングという。”

趣味の養蜂ですが、桜が散った頃に私の巣箱に 1群が入居して現在活発に活動しており、このまま居着いてくれそうです。また状況をお知らせします。これから暑い夏がやってきますが、体調を崩さないようご自愛ください。