猛暑が続いた異常気象もようやく落ち着き、最近は従来の秋口らしい気候に戻ってきたように感じます。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
私はこれまで「インフルエンザにもコロナにもかからない」と豪語しておりましたが、9月初旬に社員と2日間の同行出張をした後、思わぬ事態に見舞われました。出張後、同行した社員がコロナ感染で休暇を取っていると聞き、まさか自分も……と思っていた4日後、出社時に頭痛を感じました。念のため自宅にあった検査キットで検査を行いましたが、慌て者の私は、試験紙の反応を確認する前に「陰性だ」と早合点してしまいました。ところが、20分後に改めて結果を確認すると、しっかりと陽性反応が出ており、コロナ感染が判明しました。すぐにかかりつけ医に連絡し、駐車場での診察を受けたところ、コロナ陽性との診断を受け、薬を処方されて自宅療養となりました。幸い、発熱や喉の痛みはなく、症状がほとんど出ないまま経過しました。血痰が出て苦しく感じた時もありましたが、現在は鼻水が出やすくなった程度で、ほぼ通常の生活に戻っています。最近では、症状が軽いため感染に気づかず出社している人も少なくないようですので、不調を感じたら早めの受診をお勧めします。
そうした折、T社の電気ケトルの電源プレートに関する自主回収のニュースを目にしました。企業の事故解析結果がホームページに公開されており、その内容を詳しく読みました。製品安全分野でエーペックス・インターナショナル社での7年間の勤務、そしてコスモス設立以来39年、合計46年間にわたり製品安全評価・認証に携わってきた経験から、今回のリコールについていくつかの疑問を感じています。
まず、開発段階でどのようなリスク分析が行われたのかが気になります。対象製品は、ユーザーが電源コードを頻繁に抜き差しする構造になっているようです。仮に、1日3回(朝・昼・夕方)使用し、その都度コードを抜き差しすると、1年で約2,190回ものストレスがACコードやプラグ部分にかかる計算になります。電気用品安全法で規定されているコードの折り曲げ試験の最大回数(別表8および省令第十二号)を超える可能性もあり、この構造自体に問題があるのではないかと感じます。
この点から、私は製品設計段階でのリスク分析が十分ではなかったのではないかと考えています。また、認証機関の評価時にも同様の課題があったのではないかと思われます。ISO 17021でも求められる技術倫理の観点から考えても、「ユーザーの誤使用」として片づけるのは無理があるように感じます。福島原発事故や震災被害を経て問われた「国民へのより安全・安心な配慮」という視点からも、企業側の安全設計責任を見直す必要があるでしょう。私の経験から見ても、今回の事例は見過ごせない問題です。もし私の見解が偏っていると感じられる方がいらっしゃいましたら、ぜひご意見をお寄せください。現在、事故調査員としても活動していますが、こうした観点から今後の議論に参加していきたいと考えています。もし関係委員会で「扱いにくい人物」と見なされるようであれば、喜んで退席いたします。
私は、いかなる組織や利害関係にも縛られない独立した立場から、これまでの経験と規格策定の経緯を踏まえ、公平な判断をしていく所存です。かつて、ある製品改良に関して「この製品改良では死亡事故につながるおそれがある」と審査部のスタッフと議論したことがあります。その際、ある社員が「その改良の否定まではできない」と発言しましたが、私は「たとえ国に休止届を出してでも、その改良は認められない」と強く主張しました。結果として、その1か月後、他の評価機関が審査した同型機で死亡事故が発生しました。自分がもっと強く主張していれば防げたかもしれないと今でも悔いが残ります。その経験から、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、製品安全の原点に立ち返って取り組んでいきたいと考えています。今後とも皆さまのご指導・ご助言を賜りますようお願い申し上げます。
趣味の日本蜜蜂の養蜂ですが、1群ではあるものの元気に活動しています。ただ、いつものように秋口の大雀蜂の襲来で、3日から4日くらいの間、1匹も巣箱の外に出ないことが度々起きるようになりました。