製品寿命と技術者倫理について考える

春の気配を感じる日が少しずつ増えてまいりました。
寒暖差のある日が続いておりますが、皆さまにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。季節の移ろいを感じるこの時期は、ものづくりに携わる私たちにとっても、立ち止まって原点を見つめ直す良い機会だと感じています。

コスモス・コーポレイションでは、製品寿命を考慮した製品安全設計を、指導の基本方針として掲げています。その理由は極めて明確です。製品は「規格に適合した瞬間」ではなく、「市場で使用され続ける全期間」にわたって安全でなければならないからです。規格は最低限の共通言語であり、安全そのものを保証するものではありません。製品が長く使われるほど、部品の劣化、使用環境の変化、想定外の使われ方など、リスクは確実に増えていきます。だからこそ、設計段階から製品寿命を見据えた安全設計が不可欠なのです。

規格や規定に明記されていない事柄に直面したとき、私たちは何を拠り所に判断すべきでしょうか。
その答えは、技術者倫理に基づく判断以外にありません。コスモスは、常に次の立ち位置で顧客に向き合っていきます。

第一に、国民のより安心・安全への配慮です。
評価・認証業務の最終的な受益者は、製品を使用する一般の人々です。この視点を見失った瞬間に、技術は独りよがりになります。

第二に、安全検出型の思想に基づき、フェールセーフを追求することです。
「壊れない」ことを前提にするのではなく、「壊れたときに危険側に転ばない」設計をどこまで実現できるかが、真の安全設計だと考えています。

第三に、製品寿命の目標値を明確にすることです。
民生機器は8〜10年、産業機械は最長30年。この期間、安全に使われ続けることを前提に企業を指導していく姿勢を、私たちは貫きます。

第四に、設計・開発段階ではIEC規格を基準としつつ、製品が市場に出た後は、製造物責任法に基づく責任が問われる段階へ移行するという認識を持つことです。
出荷後に発生する不具合や事故に対し、顧客の損失を可能な限り小さくする努力こそが、信頼ある企業活動につながります。

第五に、DX化を推進し、最長納期25日を企業努力目標とすることです。
スピードは品質を犠牲にするものではなく、知恵と仕組みによって両立できる時代に入っています。

第六に、評価・認証業務で得た利益は、人に投資することです。
社員教育、測定機器の充実、そして給与への適切な配分。これが、長く社会に貢献し続ける組織の基盤だと信じています。

最後に、少し肩の力を抜いて、私の趣味の話を。
庭で飼っている日本蜜蜂は、温かい日にはとても活発です。水場で羽を休め、花の香りをまとって巣に戻る姿を見ると、自然の営みの確かさに心が和みます。
人の手を入れすぎず、しかし見守り続ける。その距離感は、ものづくりと安全にも通じるものがあるように感じています。
これからも、季節の変化とともに、原点を忘れず歩んでいきたいと思います。