新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、多くのお客様ならびに関係各位より格別のご支援とご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。本年も、製品安全とサービス品質の確保を第一に、皆様のお役に立てるよう社員一同努めてまいりますので、変わらぬご指導とお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。今年は創立39年目を迎えます。これまでに蓄積してきた各種データをより有効に活用するため、社内サーバー上にAI(LLM)システムを構築し、全社員が業務に活用できる環境を整備する予定です。業務のスピード向上と判断の適切性を両立させることを、当社の大きな目標として取り組んでまいります。
昨年、私は電気用品安全法に基づく「電気用品調査委員会」に参画しました。その分科会において事故調査委員を務めております。委員に就任した時期と重なり、電気ケトル製品に関するリコール問題が市場で注目を集めました。この件は委員会でも話題となり、私自身も近隣の家電量販店で当該製品を購入し、目視による評価を行いました。その結果、私なりの製品安全の観点から、いくつかの点について考えさせられることがありました。以下はあくまで個人的な問題意識として整理したものですが、皆様と共有できれば幸いです。
第一に、本件は消費者の取り扱い方法が主因であると説明されていますが、使用者による電源プラグの抜き差し行為を、製品寿命として何回程度想定しているのかが明確ではありません。電気用品安全法に基づく要求では、電源コードに対する屈曲ストレスは最大でも約5,000回程度とされていますが、それ以上の使用を前提とした追加の寿命試験がどこまで考慮されているのか、疑問を感じました。
第二に、過電流保護の考え方です。ヒーターやその他の部品に異常が生じた場合、異常な過電流に対してどのような保護が講じられているのかが分かりにくい構成でした。家庭用回路の15Aサーキットブレーカーが動作する前に、電源コードが発熱し、絶縁材に影響が及ぶ可能性も否定できません。15Aを大きく超える電流が一気に流れる故障であればブレーカーは作動しますが、15A未満の領域で不具合が生じる場合には、別の安全対策が重要になります。
第三に、第二の点とも関連しますが、ヒーターの温度制御がサーモスタットのみで行われている点です。UL認証品であっても、サーモスタットの耐久寿命は最大で10万回程度とされています。仮に家電製品の使用期間を業界慣行として約8年と想定すると、その間のON/OFF回数は10万回を大きく上回る可能性があります。製品寿命全体を見据えた場合、設計上の余裕について、さらに検討の余地があるのではないかと感じました。
第四に、部品やユニットがすでに評価・認証を受けている場合であっても、その評価試験で要求されている耐久回数が、必ずしも実使用における期待値と一致しないことがあります。経済産業省が示しているリスク分析のガイドラインにおいても、必要に応じて追加の試験を実施することが示されています。製品全体の安全性を確保する観点からは、このような柔軟な対応が今後ますます重要になると考えています。
電気用品調査委員会には、評価・認証機関からの委員も参加されています。私たちに求められている倫理的行動(ISO 17021の附属書D参照)を踏まえ、業界全体として、認証業務を通じて得られた知見や課題が、より広く共有され、製品安全の向上につながっていくことを期待しています。
本年も、製品安全をめぐる課題について、皆様と共に考えていければ幸いです。

