もう秋の気配を感じる季節となりましたが、日中はまだ暑さが続いております。皆さまいかがお過ごしでしょうか。全国的に新型コロナウイルスの流行が再び懸念されておりますので、日々の感染対策には十分ご留意いただき、どうぞ健やかにお過ごしください。
私ども製品安全評価・認証機関は、皆さまの安全・安心を守るため、日々の業務に取り組んでおります。製品の評価において大切にしなければならないと考えていることがあります。それは、「規格の要求事項を正しく理解し、解釈する」ことです。その要求事項の意図を正しく理解するには、その規格の制定に至った歴史的経緯や背景に立ち返ることが欠かせないと考えます。たとえば、電気用品安全法施行令 別表第八の1 共通の事項の(2)構造のヲに、電源電線の引張試験と押し戻し試験について規定されています。引張試験では電源電線に対して加える張力の具体的な数値が規定されていますが、押し戻し試験については押し込む際に加える力の数値が規定されていません。海外の規格では規定し
ているものもあり、別表第八ではなぜ規定されなかったのか、制定当時の背景を知りたいところです。万が一これに起因する事故が生じた場合にPL 法上問題にならないかと懸念しています。私は電気用品事故調査委員として活動していますが、監督省庁の関係者の方が参加する会議などで主張していきたいと思います。
加えて、本年6月16日に経済産業省が公表した「新たな基準認証政策の展開 ― 日本型標準加速化モデル2025 ―」にも注目いただきたいと思います。これは、工業界の要望を踏まえ、海外認証機関への過度な依存を減らし、日本の技術的優位性の確保と産業競争力の強化を目的としており、日本の標準化政策の重要な転換点になると考えております。私が在籍していた長岡技術科学大学の社会人向けシステム安全工学専攻修士課程では、経済安全保障の観点からの研究に触れる機会もありました。台湾有事のリスクを想定した模擬演習などを通じて、大企業も多方面のリスクに強い関心を寄せていることを知りました。その経験からも、今回の経済産業省の方針には大きな意味があると感じています。
余談ですが、今年3月に弊社社員が長岡技術科学大学の同専攻を無事修了しました。同大学は、これまで修了者数を「履修修了生」を含めて公表していましたが、現在は修士論文を提出し正式に修了した者のみを対象とする形に修正されました。修了者の定義が変更されていますので、必要に応じてご確認ください。
先日Suicaカードのセキュリティ脆弱性が報道されました。発行元は問題ないとしていますが、認証機関による評価に見落としがあったのではないかという疑念も残ります。今後の関係者の発表に注目してまいります。
最近、調べごとをする際に、AIツール「Gemini」を活用しており、ほぼ正確な回答を得られるようになってきました。大変有用なツールで、すでに活用しているお客様も多いかと思います。ただ、このようなツールが出力する結果が100%正しいとは限りません。Gemini で調べた結果が本当に正しいか、確証を得たいというお客様がいらっしゃいましたら弊社までお問い合わせください。
さて、私の養蜂中の日本蜜蜂は、毎年恒例の大雀蜂の襲撃を受けています。蜜蜂たちは巣箱にこもり防御に徹していますが、このような状況が続くと蜜の備蓄が減るため、越冬時の食料が不足する懸念があります。少しでも蜜を集めなおしてほしいと願っております。